ソールズベリー近郊の町、エイムズベリーで発生した、「未確認物質」による事件。
その後の調査で、意識不明の重体となった男女は、ノビチョクにさらされたということがわかりました。
事件発生当時から、「スクリパリ父娘を彷彿とさせる」という声が出ていましたが、どちらの事件もノビチョクによるものということで、ますます関連性が高くなりそうです。
前回は、ロシアとイギリスの元二重スパイなる人物が対象になりましたが、今回は一般市民?
それだとしたらものすごく怖いことですよね。
それでは、被害者やこれまでわかっていることについてまとめてみたいと思います。
被害者は40代の男女
警察の発表によりますと、被害にあったのは、ドーン・スタージェスさん(44)とチャーリー・ロウリーさん(45)の2人。
2人は6月30日、家の中で、意識不明の状態で発見されました。
当日の午前、まずスタージェスさんが倒れ、救急車が出動、その後午後になってロウリーさんも体調を崩し、救急車が同じ住所に再び出動したということです。
2人は、スクリパリ父娘が運ばれたと同じソールズベリー地域病院に救急車で運ばれ、手当を受けていますが、現在も重体。
事件が発生した当初は、「未確認物質」に触れたことが原因として調査が進められましたが、その後神経剤の「ノビチョク」に触れたことによるものとわかりました。
これは、ロンドン警視庁のニール・バス警視監補が会見で、ポートンダウン(英軍化学兵器研究機関)の検査結果を報告、未確認物質はノビチョクだったことが明らかになりました。
バス警視監補会見の動画が紹介されている記事です。
会見でも言われていますが、ノビチョクは、元二重スパイのスクリパリ氏と、娘のユリアさんが襲撃にあったときと同じ神経剤。
「やっぱり関連があるのでは」と、思った人も多いのではないでしょうか。
まあ、私もそのうちの一人ですが、現時点では、同じものが使われたかどうかということは、断言できないということです。
ロシアの関与が強い、同じものが使われた可能性が強い、よし、調査だ!といったところでしょうか。
一般市民が狙われた?
スタージェスさんも、ロウリーさんも、エイムズベリーに住む地元住民で、今の所2人がターゲットにされるような理由が出てきていないということです。
2人以外に発症した人はいないので、もしかしたら何か理由があるのかもしれませんが、普通の人が標的になるって怖いですよね。
警察は、2人の行動を詳細にチェックして、立ち寄った場所などを詳細に調べていますが、どこで触れたのか特定できていません。
英サン紙によると、スタージェスさんは、ホームレスシェルターで暮らしていて、そこからスクリパリ父娘が意識不明で発見されたショッピングセンターからは300ヤード(約274メートル)しか離れていなかったということです。
もしかしたら、って思うけど、でもシェルターぐらしをシている人は他にもいるので、やっぱり関連性が有るかどうかっていうのはわかりませねんよね。
また、現在封鎖されているクイーン・エリザベス・ガーデンにあった物を触ったあとにおかしくなったという証言もありますが、いずれも確証には至っていないんですよね。
なぜこの2人なのか、どこでノビチョクに触れたのか。
まだまだ謎は残りますね。
今後の進展は?
サジド・ジャビド内相は、事件発生を受け、5日に政府の緊急事態対策委員会(COBRA)を招集する方針があるとしました。
ロンドン警視庁のテロ対策部門は、スクリパリ父娘襲撃事件と、今回起きた事件の関連性を調べるとともに、捜査を進めています。
また、対テロ警察ネットワークとウィルトシャー警察は、協力しながら、2人がノビチョクに触れた場所や物など、事件解決に向けて調べているということで、事件の詳細は徐々に明らかになっていくのではないかと期待しています。
もし、今回のノビチョクが、前回の事件に使われたものと同様だったとしたら。
BBCのゴードン・コレラ安全保障担当編集委員は、
このノビチョクは3月のスクリパリ親子攻撃で使ったものの残りだというのが、一番あり得る仮説だ。親子攻撃のために用意して、廃棄したものかもしれない。公園とか民家で。そこで今回の2人が接触してしまったのかもしれない(引用)
と、持論を展開していますが、もしそうだったら、運が悪ければ、一般市民もノビチョクの被害に遭う、ということですよね。
目に見えない毒薬なだけに、やっぱりこわいですよね。
こんな恐ろしい神経剤が一般に出回っていたら、安心して出かけられなくなります。
早く場所や経路が特定できたらと思いますが。
ちなみに、ノビチョクに触れた可能性があると思った場合は
○着ていた服は洗濯して廃棄
○靴などの所持品はウェットティッシュで拭いてから廃棄
するように、と、英政府主席医務官のデイム・サリー・デイビス教授はアドバイスしています。
また、CBRNテロ対策では、
汚染された服(時計やコンタクトレンズなどを含みます)は速やかに処分する必要がありますが、汚染された衣服などをうかつに脱ぐと、露出している皮膚に衣服の汚染された部分が触れる恐れがあります。特に頭からかぶる服を着ている場合には、はさみを使用して切り裂いてから、ビニール袋に密閉しましょう。
その後、汚染物質を多量の暖かい石けん水で軽くこするように洗うと、肌を通して物質を吸収する可能性を大幅に減らすことができます。(引用)
と、対処法を紹介しています。
まあ、めったに必要ではないと思いますが、こうした豆知識は頭の隅に入れておいたほうがいいですね。
ちょっと最後は話が横道にずれちゃった感がありますが、誰がどうやって何のためにやったのか、はっきりしてほしい事件だと思います。
今回は、ということでした!
参考サイト:
https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph06/contents/kakuron1.html
https://www.bbc.com/japanese/44720125
https://www.cnn.co.jp/world/35121979.html
https://www.theguardian.com/uk-news/2018/jul/04/wiltshire-unknown-substance-leaves-pair-critically-ill-in-salisbury-hospital