旧大口病院(横浜はじめ病院)で起きた、患者の連続死は、当時病院に務めていた看護師が逮捕され急展開を迎えました。
この事件が明るみになった時、同じ病棟で、20人だか相次いで亡くなっていたんですよね。
重病の患者さんを受け入れているということで、仕方ない、とも言われていましたが、数を聞いただけでも不気味。
さらに、点滴に洗剤が入れられていて、いつどこで混入されたのかも特定が難しいということだったので、「未解決で終わってしまうのでは」と思ってました。
でも、犯人が捕まってよかった。
犯人は病院に務めていた元看護師。
人の命を守る立場の看護師が、人の命を奪っていたというのには驚きですよね。
看護師がまさか、ですが、調べてみると、類似事件もあってびっくり。
今回逮捕された犯人と、類似事件についてまとめてみました。
もしかしたら、今回の犯人の動機も、うっすらみえてくるかもしれません。
大口病院事件の犯人は久保木愛弓

出典
神奈川県警は2018年7月9日、殺人の容疑で久保木愛弓容疑者(31)を逮捕しました。
大口病院では、2016年9月、病院に入院していた2人の男性患者(どちらも88歳)が相次いで中毒死、どちらの体内からも消毒液の成分に使われる界面活性剤が検出されました。
逮捕された久保木容疑者は、当時大口病院に勤務していた看護師で、逮捕後は、2人の点滴に消毒液を混入したことを認めているということです。
久保木容疑者に余罪の疑い
旧大口病院の4階病棟では、事件が発生する前から、いくつかトラブルが報告されていたようです。○看護師の飲み物に、漂白剤らしいものが混入され、それを飲んだ看護師の唇がただれた
○看護師エプロンが切り裂かれた
○カルテが紛失した
また、この4階病棟では、多くの患者が亡くなっていて、以前からおかしいといぶかる声もあったのです。
○2016年7月から9月にかけて、50人の高齢者が亡くなっている
○中毒死と特定された患者以外でも、体内から界面活性剤の成分が検出された死亡患者が複数いる
そして、中毒死が発覚してからは、死亡患者がゼロになったとの情報も。
偶然なのでしょうか。
これらの数字が本当だったら、誰かが故意に消毒液を入れ続けていたと考えるほうがスムーズですよね。
また、久保木容疑者は、「他の入院患者の体内にも消毒液を入れた。20人ぐらいやった」と供述しているとの報道もあります。
これらのことから、久保木容疑者の余罪は、かなり高い確率で今後出てきそうです。
看護師が犯人の類似事件
看護師が患者に手をかける。絶対にあってはならないことですが、看護師が犯人という事件は今に始まったことではありません。
患者を危篤状態にして自分が回復させるというヒーロー願望がある
私生活などでうまくいかないことがあり、そのはけ口を殺人に求める
看護師という立場を利用しての殺人
など、患者を殺害する動機はいくつかあるようです。
海外のケースですが、そのいくつかを見てみましょう。
グウェンドリン・グレアムとキャシー・ウッド(アメリカ)

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※グレアム(写真上)とウッド(写真下)
1980年代、アメリカで発生した事件。
グレアムとウッドの2人は、アメリカミシガン州グランドラピッズにある老人ホームの看護助手で、そこで5人の入所者を絞殺。
2人はレズビアンの関係で、「M・U・D・E・R(殺人)」というスペルを完成させるため、殺人を始めましたが、その根底には、看護師としての立場を利用して、アルツハイマー病にかかった患者に手をかけ、性的興奮を得るという理由があったようです。
その後2人の関係が解消したことがきっかけで事件が明るみになり、2人は逮捕。
1989年、グレアムは5件の殺人事件でそれぞれ終身刑、ウッドは2件の殺人事件で20年から40年の判決を受けました。
ダニエラ・ポジャーリ(イタリア)

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2014年、イタリア北部ルーゴの病院で、78歳の女性患者が死亡。
司法解剖を行ったところ、体内からは危険レベルの量のカリウムが検出されました。
その後の捜査で、同病院に勤務していたダニエラ・ポジャーリが殺人容疑で逮捕されます。
女性にカリウムを注射できる立場に有るのはポジャーリだけであり、ポジャーリが勤務した時は、他のナースが勤務するときよりも患者の死亡数が何倍も高くなることなどが決め手になったようです。
ポリージャが勤務中に亡くなった患者は90人にも上ると言われ(逮捕されたのは1人殺人の容疑で、他数十人の殺人関与が疑われている)、その動機は、同僚たちとうまく行かなかったとも、老い先短い患者の面倒を見るのが嫌になったとも言われています。
また、ポリージャは、亡くなった患者とセルフィーを撮っていたようで、逮捕後複数のセルフィーが流出しました。
キムベリー・クラーク・サエンス(イギリス)

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LNP(ライセンスド・プラクティカル・ナース)の資格を持つサエンスは、2008年、当時勤務していたテキサス州ラフキンにある透析センターで、少なくとも5人の患者を殺害、5人を負傷させて逮捕されました。
事件が明るみになったのは、1通の匿名の手紙。
30日の間に、30件も救急車が呼ばれたことを疑問視する内容で(通常は15ヶ月間に2回ほど)、それはサエンスが勤務していた時期と重なりました。
逮捕後サエンスは、否認をしていますが、サエンスが患者の透析ラインに漂白剤を注入していたのを見たという同僚の証言があります。
また、サエンスは、漂白剤を透析ラインに注入したらどうなるのかということをネットで事前に調べていたことがわかっています。
サエンスは、以前から薬物依存症があり、医療機関から複数回解雇された経歴がありましたが、そういった情報は共有されていなかったことも問題になりました。
サエンスは、殺人罪で終身刑、加重暴行罪で20年の判決を受けて服役しています。
ベブリー・オールイット(イギリス)

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オールイットは看護師として英リンカンシャーにある病院の小児病棟に勤務していました。
1990年代、オールイットは入院している子供患者(少なくとも)13人に対し、インスリンを過剰注射するなどして4人を殺害しました。
オールイットは、自分で危篤に陥らせた子供の救命を必死にしたり、亡くなった子供の両親と一緒に涙を流して死を悼むといった素振りを見せたため、始めは誰もが疑わなかったんですね。
その後オールイットは逮捕されるわけですが、後にオールイットは、代理ミュンヒハウゼン症候群という、他人を傷つけることで周囲の注目を浴びようとする精神障害があることがわかっています。
オールイットは13件の容疑で終身刑を言い渡されました。
と、いわゆる「メディカルキラー」と呼ばれる殺人者たちについて少し見てみましたが、中には100人以上の患者の命を奪ったケースもいくつかあります。
また、女性メディカルキラーばかり紹介しましたが、中には男性メディカルキラーのケースも多く、男性看護師または医師が犯人というケースも珍しくありません。
本来は治療のために使う立場や薬を、殺人のために使うとは、卑劣ですよね。
今回、旧大口病院の元看護師、久保木愛弓容疑者が逮捕され、供述に素直に応じているということです。
看護師による大量殺人は、日本ではあまり聞きませんよね。
こうしたレアケースに対して、どう捜査が進んで、どう罰せられていくのでしょうか。
今後の展開に注目していきたいです。
今回は、ということでした!
参考サイト:
https://www.asahi.com/articles/ASL787DDGL78ULOB01G.html
https://www.asahi.com/articles/ASL7754P1L77ULOB00G.html
https://matome.naver.jp/odai/2147467762226234701
https://matome.naver.jp/odai/2147501890279582601
https://www.j-cast.com/2016/09/25278895.html?p=all
https://en.wikipedia.org/wiki/Gwendolyn_Graham_and_Cathy_Wood
https://www.madisons.jp/murder/text/granam&wood.html
https://www.ranker.com/list/serial-killer-nurses/april-a-taylor
https://en.wikipedia.org/wiki/Kimberly_Clark_Saenz
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A3%E7%90%86%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%92%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%BC%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4